「慰安婦」問題とは2016.8


2016年4月不戦大学-「慰安婦問題」とは何か-で私たちが学んだこと

不戦兵士・市民の会

講師の池田理恵子さんは1973年にNHKに入局し、ディレクターとして主に「おはようジャーナル」と「ETV特集」の枠で女性、人権、教育、エイズ、戦争などの番組を制作し2010年に定年退職。

◆◆◆【学んだこと:講義内容の駆け足的な要約】

1937年の「南京大虐殺」を契機として、日本兵による強かん事件が頻発したことを受けて、日本軍は各地に慰安所を作り始めた。「慰安婦」制度に関しては、国家による徹底した報道管制が敷かれ、敗戦間際には部隊上層部からの指示で証拠が焼却された。

「慰安婦」問題は戦後も長く隠されてきたが、千田夏光さんの「従軍慰安婦」(1973年)がベストセラーになるなど世間一般に知られるようになった。

1990年の国会で日本政府が「慰安婦は民間の業者が連れ歩いた」と答弁したことに対し、「私は日本軍により連れ歩かされた」という証言が出て、被害を受けた人々が語り始めた。

日本政府は法的な責任を認めず、被害者は提訴。「二国間条約等で解決済み」、「国家不答責」、「時効」などの理由で10件すべてが最高裁で原告敗訴。但し、8件では日本軍が行った残虐な蛮行を事実認定。

1993年「河野談話」。「慰安婦」問題に関しては強制があったことを認めて、日本政府がお詫びと反省。

1995年、「女性のためのアジア平和基金は政府が主体ではなく欺瞞的」として、非難と被害者の受取り拒否等が起きた。これを機に、講師は1995から集中的に「慰安婦」番組を作り始めた。1997年度版の中学校の歴史教科書には、すべてに「慰安婦」の記述が載ることとなった。

しかし、同年1月、「新しい歴史教科書を作る会」が発足し教育への介入姿勢が明確になった。NHKでは1997年から「慰安婦」番組の企画が全く通らなくなった。「慰安婦」問題の新聞記事の解析によれば、報道への介入もこの時から始まっていると推察された。

1998年、日本の女たちが、日本の「慰安婦」問題における「加害者の特定と被害者への謝罪」を目指して「女性国際戦犯法廷」を企画し2000年に開催。講師は資料集め、慰安所や戦場強かんに関する元兵士の証言のビデオ収録などにより同法廷の準備に参加。

同法廷を取材したNHKが2001年1月に「ETV2001」で放映した番組について、NHKによる番組改ざんが発覚。内部告発の証言等により東京高裁では「憲法で保障された編集の権限を濫用し、または逸脱したもの」として原告勝訴、NHK敗訴。最高裁では敗訴となったものの、この裁判の過程で、NHK報道内容への政治介入の状況が明らかにされた。

2006年からの第1次安倍内閣では、「慰安婦」の強制の証拠はないと決めつけ、1993年の河野談話を打ち消そうとする意図が明らかとなった。

2015年12月の日韓外相会談に発表された、日本軍「慰安婦」問題の「最終的・不可逆的解決」という合意は、被害者の声を聴きもしないもので全く合意となっていない、何故、この問題を日本政府は消し去りたいのか、疑問。

「慰安婦」被害の事実を日本政府がしっかりと認めて被害者の方々に謝罪して賠償を支払い、和解する。これができれば解決できる問題を何故、日本政府は消し去ろうとするのか。

「慰安婦」がいけないことが分かっており、戦争・紛争では性奴隷や戦場強かんが起きることが分かっているからこそ、消し去りたい、のであろう。

消し去ってはならない。日本に生まれた私たちは「慰安婦」問題の根本的な解決なしには、アジア諸国の人々との友好と信頼関係を築くことはできない。

以上が講師のお話の駆け足的な要約でした。


◆◆◆【私たちの思い:慰安婦、性奴隷、強かん、いずれも嫌だ、許せるものではない」

我が身、我が子に置き換えて考える、その人の立場だったら自分はどう感じるだろう。

歴史とか報道事実の書き換えには、いずれも権力者の保身、勢力拡大の意図がある。
戦争、軍事行為に付随する性暴力の隠蔽は、戦争の美化、軍事力の維持拡大の意図がある。

事実の隠蔽は国民の判断を惑わし、国民主権の侵害となる上に、対処療法であるために問題解決には至らず、問題を先延ばしすることになる。

権力者による真実の隠蔽を見逃すことは、私たちもその行為に少なからずは加担したことになる。
だから、いつも「真実が何か」を、見て、聞いて、感じて、自分で考えて生きたい。
そして、一人ひとりの声は小さいかもしれないが、思い、感じたことを発信し続けたい。

◆◆◆【NHKへのエール】

2001年1月に放映されたETV2001における番組の改ざんは、報道の危機の表れである。

NHKが国家予算ではなくて国民一人ひとりの受信料で成り立つのは「戦争の時代、政府の制御により正しい報道ができなかった。」という反省に成り立つ。

だからこそ、政府からの圧力を跳ね返し、国民主権を明示する日本国憲法をよりどころとして意思決定してほしい。

NHKの規定からは、「政府が言うことを聞く」という現在の会長の存在は異常である

◆◆◆参考資料「NHK改善策」

@独立行政委員会制度

『放送制度を民主的なものにするためには、放送行政を政府から切り離して、独立した規制委員会で放送行政を担うようにする改革が必要です。この主張は、放送制度に関する議論ではほぼ共通認識だと言ってよいでしょう。』   

ANHK会長推薦活動

『かつて、市民の側からNHK会長、経営委員を推薦する活動がありました。(中略)経営委員宛の申し入れの中で、推薦する会が、「求められるのは、選出過程における公開性と視聴者参加性であり、選出基準の明確化」だと述べ、NHK選出基準を、「第一義的に放送のジャーナリズムと文化的役割について高い見識を持ち、言論、報道機関の長として、自主、独立の姿勢を貫ける人物かどうかに置くべきだ」としている(後略)』

BNHKへの励ましメッセージの送付

私たちが見た番組で、良かったことや改善事項を適宜伝えましょう

NHKふれあいセンター0570-066-066受付時間:午前9時〜午後10時(・土日・祝も受付)

メールでの問合せhttps://cgi2.nhk.or.jp/css/mailform/mail_form.cgi


@とAの引用:「NHKが危ない」あけび書房(2014年4月)池田理恵子、戸崎賢二、永田浩三


以上です